「『蓼喰ふ虫』は、谷崎潤一郎の長編小説。全14章から成る。谷崎の中期・成熟期を代表する作品で、愛情の冷めた夫婦を軸に理想の女性美の追求を描いている。日本の伝統美に目覚めた谷崎の転回点となった重要な作品である。\r1928年(昭和3年)12月から1929年(昭和4年)6月まで『大阪毎日新聞』と『東京日日新聞』に連載された(挿絵:小出楢重)。単行本は1929年(昭和4年)11月に改造社より刊行された。\r\r【あらすじ】\r要と美佐子の夫婦仲は冷え切っている。小学4年の子供・弘の前では取り繕っているが、美佐子は時間さえあれば恋人・阿曾の住む須磨に通う有様である。ある日、義父から人形浄瑠璃(文楽)の見物に誘われ、夫婦で出掛けてゆく。要は以前に見た時とは異なり、人形の動きに引き込まれてゆく。同席した義父の愛人・お久はおとなしい女で、要は人形のようだと思い、惹かれていく。・・・・\r【日本回帰】\r谷崎は関東大震災をきっかけに、関西に移住し、伝統文化に傾倒していった[1]。『蓼喰ふ虫』でも、〈アメリカ映画のような晴ればれしい明るさ〉から眼を転じて、日本古来の文楽のなかにある〈何百年もの伝統の埃の中に埋まつて侘しくふるへている光〉に惹かれていく心情が描かれている。\r\r【モデル】\r1930年(昭和5年)8月、佐藤春夫との間の「細君譲渡事件」が世間を騒がせた。妻・千代を巡る10年前の「小田原事件」以来の確執の決着であった。\rそのため、妻の愛人・阿曾のモデルが佐藤春夫だと長いこと考えられてきたが、谷崎の末弟・谷崎終平の『懐しき人々』によると、1929年(昭和4年)頃、千代を和田六郎(後に推理小説作家・大坪砂男)に譲る話があり、佐藤が猛反対したとされる。これらを裏付ける谷崎から佐藤春夫宛ての書簡(昭和4年2月25日付)も見つかり、高夏のモデルが佐藤春夫である可能性が高く、第一部は実際以上に事実に近いことが分かった。\r\r\r改造社・昭和4年11月初版発行の谷崎潤一郎「蓼(たで)食う虫」函付きです。挿画は洋画家で公私とも親交があった小出楢重です。A5判、391頁の大型本です。経年の割にはヤケやシミは少なく、書き込みや蔵書印、シールの剥がし痕などもありません。本の造りは確りしており経年の割には状態は良いと思います。\r50年前の古書であることをご理解の上、購入の検討をお願いいたします。
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